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【 松葉遊びランデヴ 】

 

常磐木とも呼ばれる常緑葉の松は、日本文化において不変の象徴とされる一方、変化し続ける自然の循環の一部でもあります。葉が二本根元で結びつきながら散る姿は、落葉という終焉を思わせつつ、互いに生涯を共にするという偕老同穴の精神を感じ、控えめな美しさが宿っているように思えます。

 

風に吹かれ、他の枝に引っかかる松の葉の姿は、偶然の産物でありながらも、どこか必然的なバランスを感じさせます。自然の創造性を感じられ、隠された美が潜んでいることに気づくのです。その不規則な造形に私はおもしろいさを感じています。このキュポッとはまっている愛らしさは、子どものころ遊んだ松葉相撲を連想させ、懐かしさとともに笑みを誘い、ついついシャッターを切っているのです。この無意識の行為自体が、自然と私とのひそかな対話の一環なのでしょう。

 

日常の中で見過ごされがちな松葉の姿も、ふと視点を変えることで、空間に溶け込むその存在感が浮かび上がってきます。不変を象徴する松の中にも、常に変化し続ける自然の営みがあり、散る松の葉にはその両面が表れているのです。目の前の風景をただ記録するのではなく、おもしろさの気づきは、無意識のうちにその奥にある何かを味わおうとしているのかもしれません。この写真シリーズは、松の葉に自然の造形、偶然性の美しさを見つけ、ささやかなおもしろさを感じながら撮りためました。

2022~2024